講義詳細
安全・安定運転基礎コース(2025年度)
トラブル事例分析による事故災害の未然防止(リモート)
日時 |
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定員 | 20名 |
場所 | 地図はこちら |
料金 | 72,600円(税込み) |
概要1
トラブル事例分析による事故災害の未然防止
(旧名:トラブル・ヒヤリハット事例)
科目概要:
危険に対する感受性や予測力は、製造現場でこれまでに発生したトラブル(放置すれば事故から災害へと拡大する可能性がある)やヒヤリハット事例をどれだけ多く知っているか、またその知識をいかに自分の知恵として活用できるかに大きく依存します。本科目では、製造現場の従事者が知っておくべき過去のトラブルやヒヤリハットの事例について、受講者自身が事例の分析、討論、及び発表を通じて紙上で体験する(紙上体験と呼ぶ)ことで、危険に対する感受性や予測力を高め、トラブルの未然防止能力と問題点の早期発見能力を向上させることを目指します。さらに、緊急時対応能力の向上にも繋げることを目的としています。
研修目標:
製造現場従事者の危険に対する感受性や予測力を高めることが研修の目標です。
危険に対する感受性や予測力を向上させるために、『将棋倒し分析法』を用いて、トラブルを未然に防止する能力や早期に発見する能力を身につけます。
こうした訓練を通じて、事故や災害を未然に防止できるという信念を獲得し、事故災害を未然に防止する人=トラブルプリベンタに変わることを目指します。
(1)トラブル・ヒヤリハット事例分析法の一つとして、新規開発された『将棋倒し分析法』の習得します
①トラブルやヒヤリハットに至るまでには必ず連鎖があることを理解し、この連鎖を断ち切ることで事故や災害を防止できることを理解します。
②トラブルやヒヤリハットの原因が『事故・災害発生経路』に収斂することを理解し、トラブルやヒヤリハットを未然に防止するための原則が、本質安全、制御安全、教育訓練安全であることを理解します。
(2)多くの(十数件)トラブル・ヒヤリハット事例を班別に『将棋倒し分析法』を用いて実践し、分析手法を体得します。
①講義と将棋倒し分析作業を通じて、感受性と予測力を磨きます。
②講義と将棋倒し分析作業を通じて、トラブルやヒヤリハットの未然防止の知恵を体得します。
③講義と将棋倒し分析を通じて、トラブルやヒヤリハットを防止するために「獲得すべき知恵」(知恵=知識×経験)を数多く習得し、トラブルプリベンタへ脱皮・成長します。
(3)トラブルプリベンタへの変身を実感するために、受講前後の成長を自己評価するための6つの必要な資質を5段階に定量化し、レーザーチャートで可視化します。
(4)事例分析結果を現場で活用します。
①グループ討議を通じて、多くの(十数件)の事例分析で得られた知識を整理し、トラブルの未然防止能力と早期発見能力として現場で生かす基盤を作ります。
②講義中に豊富なトラブル事例集(資料編)も数点紹介し、未然防止能力と早期発見能力を末永く現場で生かせる参考資料とします。
対象とする研修参加者:
主として石油化学、石油精製、一般化学企業の従業員で、入社2~20年目の中核運転員、
保全技術者および関連企業の従業員(新入社員は受講対象から外れますのでご注意下さい)。
科目の特徴:
(1) トラブル・ヒヤリハット「事故・災害発生の経路」に整理しうることを基本としていること。
(2) トラブル・ヒヤリハット事例の要因分析法の1つとして開発した「将棋倒し分析」を用いること。
(3) 受講者を個人及び3~5人/班にグループ分けし、事例を討議し、結果を発表することにより、全員に多くの(十数件)のトラブル・ヒヤリハット事例を紙上体験させること。
(4) トラブル・ヒヤリハット事例を、「設備」、「物質・現象」、「人」の3要素に体系的に分類し、分析させること。
(5) トラブル・ヒヤリハット対策の3原則(本質安全・制御安全・教育訓練安全)を、分析を通じて理解させること。
(6) 多数の分析結果から得られる「Know-Why」を獲得すべき知恵として整理させること。
(7) コマ毎に獲得した知恵を採用事例リストに記載する。
(8) トラブルプリベンタの必要資質を5段階で定量化し、自己評価させること。
(9) 一人ひとりの命の大切さを痛感してもらうこと。
(10) 3日間の学習で獲得したことをベースに決意表明をさせること。
研修に必要な期間:
受講時間
9:00~17:00(日毎のアンケート記載時間含む)
1コマの講義時間は休憩時間10分を含み原則100分とし、昼休み50分とする。
受講生数: 約20名
講師:
若林 茂(元ジャパンエナジー法定エネルギー管理士、RING主任研究員、計画GR担当者)
樅野喜治(元ジャパンエナジー訓練センター講師、運転コース教材開発者)
笹木敏行(元ジャパンエナジー講師、RINGⅢ(主任研究者,建設プロマネ)
名誉講師:森本厚吉(本コースの教材開発者)
概要2
コマ1:職場環境、事故災害発生経路と将棋倒し分析
① 講座の目的 ②講義の基本方針 ③危険だらけの職場環境 ④トラブルプリベンタとは
⑤事故・災害発生経路 ⑥将棋倒し分析の進め方 ⑦危険予知活動(KYK)の基本と実修。
コマ2:将棋倒し分析の学習(静機器・腐食・劣化)
実際にあった静機器のトラブル事例数件(加熱炉、配管、タンク等)を基に、講師分析で
具体的分析の進め方と静機器の構造、弱点の体得。
コマ3:将棋倒し分析の実修1(動機器)
実際にあった動機器のトラブル事例数件(ポンプ、コンプレッサ―等)を基に、その原理原則を講師が説明後、班毎に分析し結果を講師分析と比較し体得する。
コマ4:将棋倒し分析の実修2(計装・電気機器)
実際にあった計装・電気機器のトラブル事例数件(圧力計、計装・電気機器類の取り扱い)を基に、その原理原則を講師が説明後、班毎に分析し体得する。
結果を講師分析結果と比較し、各自獲得した知恵を採用事例リストに記載する。
コマ5:将棋倒し分析の演練1(毒ガス、劇・毒物、危険物)
実際にあった毒ガス、劇・毒物、危険物のトラブル事例数件(一酸化炭素,シアン化水素、硫化水素等)を基に、その原理原則を講師が説明後、班毎に分析し体得する。
コマ6:将棋倒し分析の演練2(身近な物質)
実際にあった身近な物質のトラブル事例数件(酸素欠乏等)を基に、その原理原則を講師が説明後、班毎に分析し結果を講師分析結果と比較し、各自獲得した知恵を採用事例リストに記載する。またヒューマンエラーによる対策を考える。
*コマ7の前に約30分間で各班に分かれて安全諸活動が各企業でどのように行われているかをディスカッションと全体の班別等の発表の場を通じて情報交換を行うことによる今後の安全活動を活発に取り組む糧とする時間を設ける(コミュニケーション力も養う)。
コマ7:将棋倒し分析の演練3(相変化・液膨張)
実際にあった相変化・液膨張のトラブル事例数件(液封、蒸気爆発)を基に、その原理原則を講師が説明後、班毎に分析し結果を講師分析結果と比較し、各自獲得した知恵を採用事例リストに記載する。
コマ8:将棋倒し分析演習4(静電気)
実際にあった静電気・劣化のトラブル事例数件(静電気原理と予防、粉塵爆発等)を基に、その原理原則を講師が説明後、班毎に分析し体得する。
コマ9:将棋倒し分析仕上1(運転管理)
実際にあった運転管理のトラブル事例数件(報連相、申し送りの重要性)を基に、人を起点とする将棋倒し分析を講師の事前説明なしに実施し、隣の班同士が分析結果を交換採点し、トラブルプリベンタへの変身具合を体得する。
コマ10:将棋倒し分析仕上2(工事管理)
実際にあった工事管理のトラブル事例数件(直火管理、運転と保全の連携の重要性)を基に、人を起点とする将棋倒し分析を講師の事前説明なしに実施し、隣の班同士が分析結果を交換採点し、トラブルプリベンタへの変身具合を体得する。
コマ11:感受性・予測力
コマ2~10の将棋倒し分析結果をベースに、安全とは、感受性とは、予測力とは何か、またこれを高めるために何をすべきかを検討し、結果を代表者に発表させ、自分を積極的に変革させる。
コマ12:まとめ
前コマまで討議してきた大部分のトラブル原因はコマ1で示した事故・災害発生の経路図に収斂し、「人がキー」であることを理解する。さらに、理解度テストを行い、理解度不足部分を整理する。最後に各自の成長結果を決意表明として全員に発表して貰う。
アンケート・修了書授与
参考にする文献:
① 浅見芳男著 『生産現場がやさしく分かる本』 高圧ガス保安協会 1998年初版
② 倉敷市コンビナート防災審議会 答申書 平成17年3月22日
『水島コンビナートの事故防止対策について~現状解析と対応策~』
③ 失敗知識データベース整備事業 『失敗知識データベース』科学技術振興機構ホームページ
④ 中央労働災害防止協会などのホームページ
⑤ LPガス1次、2次基地における ヒヤリ・ハット事例集(日本LPガス協会)
⑥ 化学プラントの安全対策技術Vol4 事故災害事例と対策(化学工学協会編)
⑦ 水島コンビナート事業所 設備管理事業報告書
⑧ 高圧ガス保安協会ホームページ 高圧ガス事故情報
⑨ インターネット官報閲覧(新規法変更へのアンテナ確保)